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人はもっと楽しく生きられる!
MiLが目指す「ウェルビーイングなライフスタイル」とは?

株式会社MiL 代表取締役 杉岡 侑也さん

1991年生まれ。大学受験が上手くいかず5年間フリーター生活を送り、23歳ではじめて社会人になるも、夢や目標のない若者が多いことに気づき、「キャリアよりも先に"自分を知る"体験が必要」という考えのもと、キャリアエデュケーションカンパニー株式会社BeyondCafeを創業。その後、自身のような学歴、キャリアのない人材のファーストキャリアを支援する株式会社ZERO TALENTを創業し、多くの若者の自己実現支援を進めるなかで、人本来のインフラ、ヘルスケアが当たり前になる社会を実現することを目指し、2018年「ヘルスケア×フードテック」カンパニー株式会社MiLを創業されました。

MiLはどのようなことを目指している会社ですか?
2018年に創業した現在3期目の会社で、「フード・フォー・ウェルビーイング」、つまり食を通して身体的、精神的、社会的という3方向において良好な状態となるライフスタイルを作ることを目指しているスタートアップ企業です。
なぜ「キャリア支援」から「食」にテーマを変えて、3社目を起業したのですか?
事業領域としてはかなり領域が変わったのですが、今振り返るとすべて「ウェルビーイング」が共通の目標になっていたので、コアとなる考え方は変わっていません。事業内容は手段だと考えているので、その時々で選んだ手段がその事業だったんですよね。なので、3社目としては今まで以上に関わる人が多い領域を選んだ、と捉えています。例えば1社目に創業したBeyond Cafeだとターゲットとなる日本の就活生約40万人なんですよね。そのなかで自分たちがタッチポイントを持てるのは何人、という話になるので…。「食」だと全世界の77億人と関わることができます。みんなご飯は食べますから。
「ウェルビーイング」という言葉には昔から関心があったのですか?
僕は「言葉の民主化」とよく表現するんですけど、言葉には流行り廃りもあれば、民主化するタイミング、皆がその言葉が認知されて、正しく理解されて、言葉が記号化する瞬間ってあると思うんですよね。この言葉が民主化し、記号化したタイミングで言葉として関心を持ち始めた、が答えになります。なので、タイミングによっては別の表現を使っていると思います。今まで事業内容や伝える言葉は変わってきましたが、コアとなる部分は24歳の頃から恐らく変わっていないですね。
杉岡さんの「コアとなる部分」が生まれるきっかけはありますか?
今までの29年間の全てが繋がって出来上がっているので、特にきっかけはないですね。ただ会社を経営し、あらゆるチャレンジから生まれたコアな部分としては「人はもっと楽しく生きられる!」ということだと思います。お金をたくさん稼いだとしても無理をしていれば心は幸せになれないし、体を壊すかもしれない。社会全体が貧しければ自分自身が恵まれていたとしても、その先に幸福は生まれないと思っています。だからこそ、気持ちも体も社会全体も良い状態、ウェルビーイングが大切だと考えています。
社会への取り組み、という部分もMiLさんは大切にされていらっしゃいますね。
はい、「サスティナブル」は言うのではなく、実現に向けて行動することが大事だと思っていますので、SDGs(持続可能な開発目標)の活動に尽力しています。例えば「なんで高齢者の年金を自分たちが稼がなきゃいけないんだ」というのを僕たちのような若い世代の中では言われているけど、このままだと僕たちが高齢者になったときにお金だけじゃなく、「海も川も緑もあの世代が何も活動しなかったからこうなったんだ」と言われるかも知れない。社会への取り組みは、僕たちが生み出した「the kindest」に込めたことそのものでもあるし、自分がやるべき職務に含まれていると考えています。
MiLさんの自社ブランド「the kindest」はどのような想いを込めて命名されたのですか?
「the kindest」は僕たちが目指している「フード・フォー・ウェルビーイング」、日本発のブランドであること、そしてデータとテクノロジーを活用してパーソナライズな体験を生み出す、という3つの想いを込めています。
「フード・フォー・ウェルビーイング」は冒頭でお話した通りですが、それに加えて日本発のブランドなので、歴史や文化、技術を踏襲して、日本のものづくりの考え方をブランドに反映することを大事にしています。
もう1つの「1人1人の悩みを解決する」というのは、テクノロジーの会社でもあるので、テクノロジーを使ってパーソナライズ化することで、1人1人の悩みを解決していく、ということも大切にしています。
これら3つの想いを1つのブランドに込めた結果「全てにおいて最上級に優しい選択をする」、それを1つのライフスタイルと表現しよう、ということになりブランド名が決まりました。僕は「the kindest」とこれからの人生を歩んでいくと思うので、どんな風に成長していくか、すごく楽しみですね!
「the kindest」は世の中にとってどのような存在を目指していますか?
「the kindest」を通して、誰もがウェルビーイングでいられるブランドを目指しています。また、流行りを目指すのでは無く普遍的なブランドになることを目指しています。そして多くの人に「the kindest」というブランドに触れてもらい、皆さんと一緒に未来にあるべき、必要とされる「the kindest」を創っていきたいです。
事業として「the kindest」は今後どのような展開を予定していますか?
「the kindest」は今はベビーフードのメーカーだと認識いただいていると思うので、今後はより「ウェルビーイングなライフスタイル」を提案するブランドに近づけるようあらゆる商品、サービスを全力で開発していきます。「1人1人の悩みを解決する」という点で、徐々にあらゆるデータが溜まってきているので、将来的にどういう赤ちゃんは風邪をひきにくいか、アレルギーになりやすいかなどの傾向も分かるようになるかもしれません。現在でも数あるデータから逆算して商品を開発、レシピを紹介、個別相談などの展開を目指しています。
ちなみに届ける手段としてはLINE を使っているんですけど、LINE は購入者の90%以上が登録してくれるんですね。しかもLINE は大半の方が機種を変えてもアカウントを引き継ぐので、半永久的に寄り添うことができる、というのもライフスタイルそのものを提案するうえで非常に重要だと考えています。
ライフスタイルの提案方法としては、オフラインも含めてということでしょうか?
はい、オフラインも含めて考えています。
今は新型コロナなどの外部要因の影響があるので状況を見ながらの判断となりますが、例えば近年だと旅行会社が提供する旅行パッケージの中で、特に「親子留学」がすごく伸びていたと聞きました。現地に行って何かを見に行く、食べる、購入する、ではなくて「体験する」ということにお金を払うという消費行動に傾向が変化しつつあります。
僕たちも「the kindest」を購入してくれているお客さんに対して、オフラインでは「体験」を提供するサービスをどんどんやっていきたいと考えています。
「体験」というと最初は「レストラン倭」の経営から始められていますが、「the kindest」が生まれるうえで必要な体験だったのでしょうか?
そうですね、最初から売るために始めたのではなく「これを解決したい!」からブランドが始まったので「誰を本当に幸せにできるか?」を確認しながら進めるうえで、レストランという形態は非常に適していました。野菜嫌いのお子様と共にご家族で来店され、お子様の野菜嫌いが治った瞬間を目の当たりにしたり、来店された方が食材本来の味を初めて体験されるというような、数多くの感動がレストランでは生まれていました。シェフと二人三脚で始めたレストランなくして、今のブランドはないと本当に思います。西麻布のレストランなので、めっちゃ資金かかりましたけどね(笑)でも本当にやって良かったです。
資金調達という点において、MiLさんは多方面の方から資金調達していらっしゃいますが、どのような方と出会い、どのように調達していったのですか?
とにかく沢山の投資家の方と会いました。多分150人くらいには会ったと思います。そのなかで、僕は何が何でもM&AだとかIPOとかを目指すというより、「自分が目指す世界を実現したい」ということを理解をいただき、本気で向き合っていただいた方に投資してもらったと考えています。
沢山の投資家の方と会ってきた杉岡さんから見て、当社はどのような印象を持ちましたか?
最初は1社目、2社目繋がりの食事会がきっかけで代表の谷井さんと出会ったのですが、一言で言うとめちゃくちゃかっこよかったです。こんなおじさんいるんだ、と震えましたね。社会がどうなっていくのか、ということを真剣に考えているし、その中で自分ができることは何なのかを真剣に考えている。きっと今まで何十年もそうしてこられたんだろうなと感じました。
そんな谷井さんは今まであらゆるコーポレートアクションをおこなってきた相当なプロ経営者だと認識しています。経営を学ぶなら彼だ!と思いました。またお金以外にも、自分が目指す理想に向かって、自分をどう使っていくかということを考えている人だと感じ、こんな風になりたいと本気で思いました。
今後は、当社とどのような関わり方を期待しますか?
具体的なアクション、というよりも経営者として、1人の人間として、メンターの役割でお付き合いいただけると良いなと思っていますね。そして僕に投資いただいたことで、谷井さんが外から評価されるような結果を出していきたい、とも強く思っています。それで谷井さんから学んだ起業家がどんどん社会に出ていくことはとても良いことだと思います。若い世代の起業家達がもっと谷井さんのような素晴らしい経営者に触れる機会を作りたいと思います。自分がその一端を担えると嬉しいですね。
これから起業される方、新規事業を立ち上げていく方に向けて最後にメッセージをお願いします。
ずっと言い続けていることなのですが、自分がやりたいこと、やるべきだと思うことをやったほうが良い、ですね。
新規事業、起業、どのような関わり方でも良いのですが、人には神様から与えられた役割というのがあると考えているので、それに従うのが良いと思います。自分にどんな才能があるか、何をするのが楽しい、心地良いのかって、生きていくなかで少しずつ分かってくるじゃないですか。そこから逸脱して自分らしくないことをやるとすごくストレスになるので、例えば起業家であっても必ずしも社長にこだわらなくても良いと考えています。
自分がどうありたいのか、自分らしい生き方を見つけたうえで、自分らしい仕事をする、その結果として会社を作る、サービスを作る、という順番でいけば長く続けられるのではないかと思います。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。