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人々の健康寿命を伸ばすことを目指す
リグアにとっての上場の意味とは?

株式会社リグア 代表取締役社長 川瀬紀彦さん

1976年生まれ。金融サービス業、ホテル再生業を経て2004年に株式会社リグアを設立されました。「健康」と「金融」をキーワードにした独自の視点と、財務、人事、教育、企画運営のコンサルティングを強みとされ、業務効率を飛躍的に伸ばすIT経営支援サービスの導入、接骨院に対する経営コンサルティング事業を展開されております。

どのような会社を経営されていますか?
僕らの会社は、接骨院を中心としたヘルスケア産業において、経営支援に貢献する問題解決型コンサルティングカンパニーです。「LIFE(暮らし)をGUARD(守る)する」という意味を込め、LIGUAという社名を掲げています。「健康寿命を延ばし、生きることを楽しむ社会へ」をビジョンに掲げ、社員と共に取り組みをおこなっています。
事業内容である「接骨院ソリューション事業」について詳しく教えてください。
金融サービス事業は、資産アドバイザー(IFA)として証券、生命保険、損害保険を取り扱っています。お客様は企業のオーナー、つまり経営者に対して主に財務戦略や、経営者向けのライフプランを提案しております。こちらは接骨院のオーナーに限らず企業全般に対してです。例えば、社長が引退するときの相続をどうするか、といった問題に対してプランを提案し、紹介元の税理士さんも交えて相談しながら決めていく、といったイメージです。
特徴としては、ご紹介いただいたお客様に複数の企業や税理士の方々と連携して包括的なサポートを行っており、お客様を獲得するためのプッシュ型営業はおこないません。この2つの事業としての強みを組み合わせることで、ヘルスケア産業において財務戦略を含めた経営支援を提供することができます。
ヘルスケア産業にとっての経営企画室のポジションを目指しているということですね。
その通りです。ただヘルスケア産業の経営企画室がゴールではなくて、BtoBtoCのビジネスモデル、つまり当社 - 接骨院の経営者様 - 患者様まで繋がるビジネスモデルを目指しています。僕たちはヘルスケア産業の経営者をサポートしながらその患者様にもサービスを提供する、という形を今後やっていきたいですね。具体的には、接骨院に来られた患者様向けのメニューを僕たちで開発して、そのメニューをパッケージ化して接骨院に提供すること。そのメニューの中に僕たちが取り扱っている製品を組み込んでいくことでさらなる売上に繋げていくイメージです。また必要に応じて事業計画や資金調達もサポートしていきます。
そもそも、接骨院というニッチな業界でビジネスをやろうと思ったきっかけは何ですか?
僕は高校、大学とずっとスポーツをやっていたので、その頃にすごくお世話になったのが柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージの先生でした。独立を目指しながら企業で勤めていた頃、僕もこの業界に進もうかと思っていたら、兄がたまたま柔道整復師、鍼灸師の資格を持っていたんですね。じゃあ一緒に接骨院を開業しよう、ということで兄が現場のトップで、経営やバックヤードは全て僕が担当する形で、設備を用意して開業し、経営もマーケティングも全てやりました。そこで得たノウハウを他の接骨院のオーナーに提供してあげたい、ということで、接骨院の仕事は全て兄へ引き継いで、自分でリグアを設立した、という感じですね。
接骨院業界全体としては、どのような動きとなっているのでしょうか?
業界の動きとしては、接骨院の店舗数を見ると2000年から約2倍に増えています。でも療養費は業界全体として下がり続けています。接骨院業界において療養費は売上のことですね。つまり、店舗数は増えている一方で1店舗あたりの平均売上は低下し続けています。これは法律の改正により、保険請求分が減って患者の自己負担の費用が増えたことが起因しているのですが、患者様が自己負担する自費メニューを取り入れていない接骨院が厳しい経営状況に置かれているので、我々は自費メニューで売上が上げられるようサポートしています。
接骨院だけでなくヘルスケア産業全体に領域を広げていくということですが、具体的にはどのような業界がターゲットになるのですか?
接骨院とビジネスモデルが近い業界になるので、オーナーがいて経営企画室がおらず、ヘルスケア商材を扱っている業界、例えば歯科・クリニックなどがターゲットになります。病院は事務長が経営企画の役割を担っているので含まれないと思いますね。
2020年3月に東証マザーズに上場されましたが、本格的に上場を目指したのはいつ頃からですか?
2015年なので、約5年前からですね。その頃にペイフォワード代表の谷井さんには経営関係の勉強会をやってもらっていました。元々は、20年程前から経営の先輩として仲良くしていただいていたのですが、当時、大阪のベンチャーから上場まで経験している第一人者的な存在だったこともあって、経営のことを教えてもらっていました。
上場を目指すにあたり、一番の目的は何ですか?
目的としてはやはり信用力、影響力がつくことですね。僕らの目指すところって最初に話した通り、人々の健康寿命を伸ばすことなんだけど、それは1つの企業だけでやるには限界があって、多くの企業とアライアンスを組む必要があります。上場していることで信頼される可能性が高まるので、上場した方が得策であると判断しました。金融サービス事業も、上場している企業の方がコンプライアンス体制が整備されているので、安心していただきやすいと思います。僕たちがやっている業種、つまり社会問題を扱っている、金融を扱っている、どちらの面を切り取っても上場した方が動きやすい業種だと思っています。
5年の準備期間を経て、上場が決まった瞬間はどのような気持ちなのですか?
上場承認がおりたときは、良かった、とは思いましたが安心はできないですね。上場承認が降りても取り消しの可能性はあるから何も安心できない。上場後も、新型コロナの影響もあるし、もともと上場がゴールではないので、僕も社員のみんなも含め特に変わってないですし、浮かれてられない、という感じですね。やるべきことをやっていくだけだなと思います。
川瀬さんから見て、ペイフォワードからの投資、あるいは起業サポートを受ける起業家はどのような方がマッチしていると思いますか?
依存せずに自分で物事を考えて、上手くペイフォワードを活用できる人が良いんじゃないですかね。依存するならサラリーマンをやった方が良い。自分自身が独立をした上で、目的と何を提供して欲しいかが明確である状態で関係を築くのが良いと思います。上場を目指すのか、EXITを目指すのか、目的によってやるべきことや順序は変わってくるので、自分の目的を明確に持って、ぶつけることができる人がマッチするんじゃないかと思います。
最後に、これから起業される方、新規事業を立ち上げていく方に向けてメッセージをお願いします。
独立するんだったら早く独立した方が良いと思います。上手くいっている経営者の大半が若くから独立して失敗もしている。失敗しても年齢が若い方が傷も浅く、復活しやすいけど、年齢が上がるとともに家族が増えたり、守らないといけない人が増えるので。そして独立しても大半が失敗する。10年続く会社って10%もないし、30年続く会社なんて1万社のうち2社しか生き残れないんです。皆上手くいくと思って独立しているのに生き残れるのはたった0.02%。そう考えると、少しでも成功確率を上げるために、良い環境に自分の身を置いて、成功してる人のエッセンスを吸収して、真似る、ということが重要なんですね。天才であれば必要ないのかもしれないけど…。
あと、より細かい話をすると、マーケットのどこで勝負をするか、というのもよく考えた方が良いと思います。僕は市場性が高い、大きなフィールドで戦うのではなくて、接骨院業界というライバルの少ないニッチな市場でシェアを取る、という道を選んだ。大手企業が社運をかけてこの業界に参入する、なんてことはないですからね。だから独立するのであれば、自分が戦うべきフィールドを見極めて、なるべく早く独立した後、自分にとっての師匠を見つけるか、正しい環境を見つけて身を置く、というのが大切だと思います。

※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。